研究の概要

急性期からターミナルケアまで、幅広く成人看護学領域における臨床に根ざした研究を行います。
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(1) 慢性疾患ケア:疾病管理プログラムや患者教育支援キット開発、尺度開発

○ 疾病管理(ディジーズマネジメント)についての研究

○ 慢性疾患患者のセルフケアに向けた教育教材キット開発 (国内外の企業との共同研究)

国内外の企業と共同研究

  1. 尿病や心不全、慢性閉塞性肺疾患など
  2. 教材開発のための質的研究+効果測定のための介入研究

○ 疾病管理プログラムの開発

  1. 実態調査などの基礎研究
  2. 平成16年~17年:2型糖尿病をもつ方々の長期行動変容プログラム(6ヶ月プログラム)を開発し、複数の医療機関で介入研究を実施、アウトカムの測定を行いました。(文部科学省科学研究費)
  3. 平成16年~17年にかけて、虚血性心疾患をもつ方々の長期行動変容プログラム(6ヶ月プログラム)を開発し、複数の医療機関で介入研究を実施、アウトカムの測定を行いました。(経済産業省研究費、HCCヘルスケアコミッティ(株)と共同研究)
  4. 平成18年度、心不全患者のセルフケアの実態と影響要因の調査を実施しました。
  5. 平成19年度、心不全患者のアウトカム向上を狙った6ヶ月疾病管理プログラムを実施し、有意差が得られました。

○ 各疾患のQOL尺度開発

○ セルフケア行動関連要因の研究

  1. 平成17年度:脳卒中を発症した者の受診行動を研究しました。
  2. 平成19年度:虚血性心疾患を持つ者のセルフケアの関連要因の研究を行いました。

(2) 家族看護:慢性疾患と家族、緩和ケアと家族、介護と家族、家族の危機

 家族看護に影響を与えた思想の流れ及びこれらを理論的基礎とするさまざまな家族療法について基礎理論を学習・討議します。特に、システム理論から脱構造主義に変化する「カルガリー家族アセスメントモデル・介入モデル」を中心に、1つのユニットとしての家族をアセスメントし、介入するための理論と実践を学びます。

1.慢性疾患患者・家族のケア:慢性疾患は長期の経過をたどり、生活習慣の変更を行わなければならないなど、家族の協力が不可欠となりまが、家族にもストレスがかかると同時に、患者と家族の間に共依存や無視といったさまざまな悪循環が発生します。これら、家族の中に発生する問題を解決する支援を行います。また、家族全体の行動変容について、患者から家族への働きかけも分析しています。

○ 慢性疾患の家族員をもつ家族の質的研究と支援技法の開発

  1. 平成17年度は、2型糖尿病患者の家族の協力体制形成プロセスについて研究しました。
  2. 平成19年度は、腹膜透析患者の家族の協力体制形成プロセスについて研究しました。

2.終末期患者・家族ケア:ターミナル期における患者・家族の予期的悲嘆に関わり、様々な家族に発生する問題の解決を支援し、未整理の仕事をやり終えるための支援の実際を研究します。サイコオンコロジーの視点からも、介入・調整・支援方法の実際を研究します。

○ 終末期の患者とその家族へのライフレビューの効果に関する研究

  1. 終末期の患者と家族にライフレビュー面接を行った結果、患者の自尊感情の向上、自我の統合と家族の凝集性の向上が観察されました。

3.クリティカルケア場面における家族ケア:救命救急センターに家族員が運び込まれた家族、そして、そこでの家族員の死亡に直面した家族には、その急激な展開ゆえに、強い罪悪感や自責の念に苦しみます。このような場面でどのように看護師は関わり、支援していけばよいのかを研究します。

4.脳卒中発症後の混乱期における患者・家族ケア:脳卒中発症し、要介護状態が発生 したときに、家族が協力体制を組み、患者を支えるとともに、家族員同士が協力体制 を組み、社会資源を活用しながら、家族機能を維持・強化していくための介入方法の 研究をします。

5.がん化学療法を受ける患者・家族の教育プログラムの開発。

  1. 平成19年度 外来で化学療法を受ける患者の家族のグループセラピーを実施しました。
  2. 平成19年度 外来で化学療法を受ける再発がん患者と家族のコミュニケーションについて研究しました。

6.在宅ターミナルケアを受ける患者・家族の支援プログラムの開発。

7.娘の出産に関する父親の役割等についての質的研究も行っています。

(3) 医療提供システム/病院管理とアウトカムマネジメント

 わが国において行われている代表的な疾患の治療・ケアの流れの費用対効果について、わが国の実態を分析し、海外との比較及びエビデンスに基づいた診療ガイドラインとの比較の中から、よりよい治療・ケアの流れが国民に提供されるには医療提供システムをどのように変えていったらよいのかを、アウトカムマネジメント研究(介入研究)の手法を用いて研究します。

1.脳卒中患者のケア:血栓溶解療法に対応した迅速かつ効果的なケア提供システムを目指します。(平成15年度、16年度 文部科学省科学研究費)米国University of Texas,Houston,Medical Center,University of Marylandの協力を得ながら研究を実施しました。

2.大腿骨頸部骨折患者のケア:大腿骨頸部骨折患者について、よりよい治療ケア提供システムの構築を目指します。(平成15年度 厚生労働省科学研究費)米国Texas Medical Centerや英国Sheffild NHS Trust病院や浜脇整形外科病院の協力を得て研究を行いました。

3.2型糖尿病患者の疾病管理:2型糖尿病患者の自己管理行動が維持されるように、二次予防から三次予防までの疾病管理プログラムを開発する研究を行っています。平成15年度は、米国ボストンのJoslin Diabetes Centerにディスカッションに行ってきました。(平成14年度 フェザーヘルスリサーチ助成金、平成15~18年度 文部科学省厚生科学研究費)

(4) 看護管理

○マグネットホスピタルに関する研究を行っています。(同志社大学総合政策科学研究科寄附教育研究プロジェクト)

有能な看護師が定着し、発展する病院の特徴、文化的要因の検討等の分析を行っています。
海外調査も実施しました。


※オーストラリア ヴィクトリア州での調査概要は「看護」(日本看護協会出版社)2008年4月号から連載中です 。

(5) 退院計画と地域連携

○急性期病院、回復期病院や地域の連携を推進するための活動を行っています